kotomonasha

二歩目に文章を書いてみる。

15,三日坊主ちゃん。

 

 つい夕方に寝てしまうものの、二日間朝から生活を始めるのをなんとかのりこえて、三日目は眠くてしょうがなかった。前日に変な時間に三時間だけ寝るということをやってしまって、まあ体は動きそうだからと押し通せば、案の定だめだった。腰の痛みはないが、目の疲労がずっとおもしになっているのが分かる。どうしても集中できない。

 いっそ寝てしまおうかと横になり、スマホをいじる。目はしばしばする。スマホを置いて寝るという行為に移ることすらできないほどに、頭はじんわり熱い。そんな観察をしていないで、スマホを置く。電波が悪くてもくるくる回るがんばってますよマークを眺めてやや焦れる。時間をかけて、やっと諦めをつかせてスマホを置き、仰向けになった。ツイッターの短くて情報があるんだかないんだかわからない文章をひとしきりさらって、たまに記事に目を通しよくわからず、そんな動きをしながら、私は本当は文章を書きたいのだと横から声をかけていた。しかし、眠気と熱さとはやる気持ちはそんな声を聞こうとしない。両手を横に、仰向けに深呼吸すると、書きたい意欲は消えずにそこにいるので、紙とペンで書けばいいと至極当たり前のことを実行できるようになる。

 B5のコピー用紙と、ボールペン。手書きは気分が良くなる。えんぴつはボールペンより滑りがないか、滑りすぎるのでもっと元気な時にとがったやつを使えばいい。ボールペンは滑りがいいし、くっきり文字が残る。筆圧が多少なくてもいい。押しつけつるようにしてペン先を紙に食い込ませながら書くのに適したボールペンも楽しい。ただ、字が汚いので、ボールペンだとちゃんとインクで残るのでまだましだが、読みにくいのが難点。それとあとでキーボードで打ちなおすのも面倒。この文章はB5一面の手書きのほとんど現代の崩し字から着想を得て、書いた時のことを思い出しながらまたいちから書いている。手書きだと書いている最中の感覚もしばらくは留めておけるのでそこもいい。

 さて、あとで読み直すのに体力のいる文章をひとしきり書いて、何となく元気になると、作業にちょっと手を付けてみた。三十分で目が限界だった。でも、もういっちょ、とやれたのは成果だと思う。結局もういちど文章を書いて、諦めて寝るのだが、なんでそんなにあがいたかというと、三日坊主という言葉がしゃしゃりでてきたからである。言葉というより、妖怪・三日坊主である。こちらの視界に入ろうとさりげなく身を寄せてじろじろ見てきて、反応をうかがっている。

 三日坊主はいやだ、と私は避けようとする。しかし、実際朝起きる人間の生活をして三日目であり、かったるい気分に包まれている。暑いから、眠いから。原因を探って一歩踏み出したが、やっぱり疲れていたらしく何もできない。もちろん寝ていい。それが最善だ。

 そもそも、三日で疲れるのは、私の体力が無いからだ。三日坊主で責められても仕方ないのは体力がありあまっている人間だけだ。五時間作業しただけでじゅうぶん。休息を取り、四日目に突入したらいい。直立生活も、再開したばかりは一時間で横になっていい。やらねば、二日突っ走って、三日目に疲労が襲ってくるのはどうしようもない。妖怪・三日坊主もよく見ればただそばにいるだけで悪さしようとはしてきてない。私にただゆだねている。今のところは三日坊主に挨拶するくらいでいい。気丈に振舞うのはもう少し体力筋力がついてからだ。というわけで、なんでもできると思わずに、ちょっとゆっくりすることを許してこのさきも続けていこう。

 

 会社を作ろうか。家を探そうか。自分の作品を売ろうか。

 希望にあふれたことばかり考えている。もちろん同時に不安があるので大丈夫。しかし、前向きに実現を信じている。社会に出て、会社員を経験しないといけないんじゃないかとほとんど決めつけの心配事は忘れている。売れないんじゃないか、新しいところでまた人間関係が嫌になり戻ってしまうんじゃないかという不安も底の方に沈んで見えない。ただ、どうしたらいいのか、ということと絶対にここをでないといけないという決意と焦り。作品作りにおいてはそもそも売り物がつくれないんじゃないかということばかり考えている。

 なんにせよ、次に引っ越すとしてそれは逃避であってはならない。見えないことにして、がんばってふるまうとどうせ落ち込むことになる。ちゃんと見ようとして、がんばる。

 自分でやらないといけない。ひとを待っていてはこれまでと同じだ。自分でやるための準備をしている。少しずつ進めている。朝起きる。昼間に慣れる。夕方の苦手を克服する。うまく寝る。そうして、ひとに会う。ひととしゃべる。そんなことすらできないが、しばらく停止していたのでそういうものだ。動作確認をして、体力を育てる。着実に焦らず。暖飛ばしには器用じゃないのでできない。ひとはそんなことできているとののしりたくなるか? ののしるな。私はできていない。ただそれだけのこと