kotomonasha

二歩目に文章を書いてみる。

36.ご近所さんの虫

 

 先日外を歩いたせいか、黒い虫、おそらくマイマイガの幼虫が敷布団の繊維の上をかきわけ歩いていた。風にのって衣服に付着するらしいので、まあいいかティッシュで潰してそのままごろごろした。

 一番最初の記事に書いたが、布団から起き上がる生活を再開しようというきっかけになった虫は、チャタテムシかもしれない。と虫について理解を深めようとインターネット状の文章をあさっていて思い返していた。奴は透明で白に近い色をしていたが、チャタテムシも説明としては白い虫と書かれていることが多い。写真となると茶色っぽいのだが。過ぎたことなのでわからないが、私が遭遇したのは一匹のみだ。お仲間もいるはずなのにと不思議でならない。その後私は意気揚々と掃除をしたので彼らが居座らなかっただけだろうか。

 私の知らないところに虫はたくさんいる。家があちこちきしむのも、バチと音がするのも、湿気やゆがみもあるだろうが、虫が潜んでいたりカメムシが落ちた音だったりするんだろうな。

 物をどけるとよくクモに会う。クモは好きだ。どこで食料調達してるんだかと思いつつ、穏便に生活スペースを分けている。毒蜘蛛はいないと思っているからこその安心感だ。よく知らない羽根を持つ虫は怖い。

 今も得体の突き止められていない虫と対峙しているが、どう来るかわからない怖さ、そもそもの命のエネルギーの恐ろしさに参っている。しかも生活をともに別々のところでするというわけにはいかない相手だ。ティッシュでくるんで潰したり、私の知らないところで死んでくれと極寒の中雨の中窓から放りだす相手だ。気を長くして相手について知っていこうと思う。半分くらいはこちらが譲るとして、対面して何も考えずに逃げ去ることからは脱したい。

 ネット上ではなかなか参考に出来そうな記事は見つからない。書籍も当たってみようと思っている。どうにも、実体験が垣間見える文章と言うのは貴重だ。図鑑に載っているような説明などは、毎度書いてもらえると便利だが、実際とどれだけ離れているのか、それを埋めるのは大変だ。醍醐味ともいえるが。簡潔な文章ではなく、ぼやきとか、不明確な予想とか、感触とか、そういうものが一番参考になるのだが、インターネットはその役割を完全には担えないのか、これでも良い方なのか。知識の宝庫よりも体験の宝庫は貴重で、だからこそ入手しづらい。 人と会っても物事は動くが、虫と対峙してもことを動かさずにはいられなくなる。こちらが譲って自然の中に朽ち果てるかどうか。自然と言うのは一匹の虫のことでもある。まあ実際に一匹じゃないから対応せざるを得ないのだけど。